ピーチとジェットスターはどっちがいい？料金や安全性などの違い

「日本のLCCで人気の会社は？」と聞かれると、多くの人がピーチとジェットスターの名前を挙げると思います。

しかし、実際に予約する段階になると、ピーチとジェットスターはどっちがいいのか、悩む方も少なくありません。

安いのはどちらか、安全性に差はあるのか、乗り心地はどう違うのか、といった基本的な疑問から、欠航が多いという噂の真相など、深い部分まで気になりますよね。

この記事では、それぞれの強みと弱点をしっかり理解し、あなたの旅にぴったりのLCCを見つけましょう。

ピーチとジェットスターはどっちがいい？基本を比較

日本のLCCで人気なのは？

現在の日本におけるLCC（格安航空会社）市場は、ピーチとジェットスターの2社が二大巨頭として人気を二分しています。

＜ピーチ＞
ANAホールディングスを母体とする日本のLCCです。2019年に同じANAグループだったバニラ・エアと統合したことにより、国内LCCとしては最大規模の路線と機材数を持つ会社となりました。関西国際空港を主な拠点とし、日本らしい細やかなサービスを取り入れている点が特徴です。

＜ジェットスター＞
オーストラリアのカンタス航空と日本航空（JAL）などが出資して設立されました。成田国際空港を拠点とし、アジア太平洋地域に広がる「ジェットスター・グループ」の一員であることが強みです。グローバルなネットワークと、積極的なセール展開で多くの利用者を獲得しています。

航空会社	主な拠点空港	親会社・主要株主	特徴
ピーチ	関西、成田、中部、那覇	ANAホールディングス	国内最大の路線網を持つLCC。 ANAグループの基盤が強み。
ジェットスター・ジャパン	成田、関西、中部	カンタス航空、日本航空(JAL)	JALとのコードシェア便も一部あり。セールが頻繁。
スプリング・ジャパン	成田	日本航空(JAL)	中国路線に強みを持つ。 JALグループ。
ZIPAIR Tokyo	成田	日本航空(JAL)	JALが設立した中長距離国際線LCC。

安全性はどちらが高いのか

航空会社を選ぶ上で最も重要な「安全性」についてですが、ピーチとジェットスターはどちらも国の定める厳しい安全基準をクリアしており、安全面で大きな差はないと言えます。

その理由は、両社ともに世界的に高い評価を受ける大手航空会社が背景にいるからです。

• ピーチ…ANAグループの一員で、運航に関するノウハウや整備体制において、ANAの厳格な基準が適用されています。
• ジェットスター…「世界で最も安全な航空会社」の一つとして知られるオーストラリアのカンタス航空が設立したグループの一員で、カンタス航空の安全哲学がグループ全体で共有されています。

ピーチもジェットスターも、大手航空会社の厳格な安全基準と運航ノウハウを基盤とし、両社が使用する機材は主に「エアバスA320」シリーズで、機材も新しく安心して利用できる航空会社です。

LCCは効率化のために比較的新しい機材を導入する傾向があり、ピーチの平均機齢は約2.8年、ジェットスターも約8.9年と、国内の他の航空会社と比較しても新しい機材で運航されています。（2024年時点の情報）

＜安全性のポイント＞
過去には両社ともにトラブルがなかったわけではありません。国土交通省からは「重大インシデント」として認定された事例も報告されていますが、いずれも事故には至っておらず、その後の再発防止策が講じられています。 （参照：国土交通省 運輸安全委員会）

安いのはどちらか料金を比較

LCCを選ぶ最大の動機である「価格」ですが、ピーチとジェットスターの通常運賃を比較すると、実は大きな差はありません。同じ路線・同じ時期で比較した場合、数百円程度の違いであることがほとんどです。

しかし、最終的に支払う総額は、様々な要因で変わってきます。特に重要になるのが「セール価格」と「各種手数料」です。

セール内容の違い

両社とも頻繁にセールを実施していますが、その内容に特徴があります。

• ピーチ：週末や季節ごとに「48時間限定セール」などを頻繁に実施。路線によっては片道2,000円台など、割引率が高いのが魅力です。
• ジェットスター：「スーパースターセール」が有名で、往復予約をすると復路が数百円といった破格のキャンペーンを行うことがあります。

各種手数料の比較

航空券の価格以外に、支払い手数料や手荷物料金なども考慮する必要があります。例えば、クレジットカードでの支払い手数料は、ピーチの方がジェットスターより若干安い傾向にあります。

支払い方法	ピーチ	ジェットスター
クレジットカード	600円	620円
コンビニ払い	670円	670円

※2025年時点の公式サイト情報に基づく目安

＜注意点＞
一見安く見えても、手荷物の追加料金や座席指定料金を加えると、もう一方の航空会社の方が安くなるケースもあります。予約の際は、必ず最終的な支払い総額で比較するようにしましょう。

乗り心地に違いはあるのか

標準的な座席（スタンダードシート）の乗り心地に関しては、ピーチとジェットスターに大きな違いは感じられないでしょう。

なぜなら、両社とも国内線では主に同じ「エアバスA320」という機材を使用しており、座席の仕様が非常に似ているからです。

具体的な座席の幅（アームレスト内側）や、前後の座席との間隔（シートピッチ）は、どちらも約71cm前後で設計されており、これはLCCの標準的な広さです。成人男性が座ると膝の前にこぶし一つ分の余裕があるかないか、といったスペースになります。

ただし、追加料金を支払うことで、より快適な座席を選択することも可能です。両社の有料座席には以下のような違いがあります。

航空会社	座席タイプ（一例）	特徴
ピーチ	ファストシート	最前列の席。足元が広く、乗り降りがスムーズ。
	スマートシート	前方または非常口の足元が広い席。
ジェットスター	エクストラ・レッグルーム・シート	非常口など、足元のスペースが特に広い席。
	アップ・フロント・シート	機内前方に位置し、早めに降機できる席。

欠航が多いという噂は本当？

LCCは欠航や遅延が多いよね？

というイメージがありますが、これはある程度事実です。

大手航空会社に比べ、ピーチ、ジェットスターともに欠航・遅延の発生率は高い傾向にあります。

国土交通省が公表しているデータ（2023年度）によると、欠航率ではジェットスターが約3.5%、ピーチが約1.2%と、ジェットスターの方が高い数値を示しています。

一方で、15分以上の出発遅延率では、ピーチが約24.4%、ジェットスターが約16.6%と、こちらはピーチの方が高い傾向が見られます。

LCCの遅延・欠航の主な理由：「機材繰り」

LCCは少ない機材をフル活用して多くの便を運航するビジネスモデルです。

そのため、1便の到着が天候や整備で遅れると、その後の便の出発準備が間に合わなくなり、玉突きのように遅延や欠航が発生しやすくなります。これを「機材繰り」と呼びます。

ジェットスターの欠航率が比較的高く出てしまう理由の一つに、運航便数が多いことや、悪天候時に早めに欠航を判断する傾向があることなどが挙げられます。

いずれにしても、LCCを利用する際は、スケジュールに余裕を持たせ、万が一の遅延や欠航の可能性も念頭に置いて計画を立てることが大切です。

ピーチとジェットスターはどっちがいい？賢い選び方

それぞれの強みは何？

基本的なスペックに大きな差がないピーチとジェットスターですが、それぞれに得意な分野、つまり「強み」があります。

ピーチの強み

• 関西国際空港が拠点：関西空港をハブとしているため、関西発着の路線網が充実しています。特に、奄美大島や釧路など、他のLCCがあまり就航していない路線を持っているのが魅力です。
• ANAグループの基盤：ANAグループであることによる信頼性や、ANAマイルをピーチポイントに交換できるなど、間接的な連携サービスが利用できます。
• 安定した運航実績：前述の通り、ジェットスターと比較して欠航率が低い傾向にあり、スケジュール通りに飛びやすいという安定感があります。

ジェットスターの強み

• 成田国際空港が拠点：首都圏の玄関口である成田空港をハブとし、国内路線数はLCCの中でもトップクラスです。特に高松や松山といった四国路線が充実しているのは大きな特徴です。
• オンラインチェックイン対応：事前にウェブサイトやアプリでチェックインを済ませられるため、空港での手続きの手間を省くことができます。預け荷物がなければ、そのまま保安検査場へ直行できるのでとてもスムーズです。
• 柔軟なオプション：機内持ち込み手荷物を7kg追加できる「プラス7kg」オプションなど、利用者のニーズに合わせた柔軟なサービスが用意されています。

考慮すべき弱点はどこ？

強みと同時に、それぞれの「弱点」や注意点も把握しておくことで、より後悔のない選択ができます。

メリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。

ピーチの弱点

• オンラインチェックインができない：ジェットスターとは対照的に、ピーチはウェブでの事前チェックインに対応していません。そのため、必ず空港の自動チェックイン機での手続きが必要となり、混雑時には時間がかかる可能性があります。
• サポート体制：コールセンターが混雑していて繋がりにくい、という利用者の声が時折聞かれます。トラブル時のサポートを重視する方には、少し不安要素かもしれません。

ジェットスターの弱点

• 欠航率の高さ：データが示す通り、ピーチに比べて欠航となる確率がやや高い点は最大の弱点と言えます。特に、タイトなスケジュールでの旅行や、重要なビジネス利用の際にはリスクとなります。
• 厳格なルール運用：手荷物の重量やサイズのチェックが厳格に行われることで知られています。少しでも規定を超えると高額な追加料金が発生するので、事前の準備が欠かせません。

航空券の値下がりタイミング

LCCの航空券は価格変動が大きいため、「いつ買うのが一番安いのか」は多くの人が気にするポイントです。

通常時の価格は、主に空席状況と予測需要によって決まります。一般的に、出発日が近づくにつれて価格は上昇していく傾向にあります。

セール以外の時期で比較的安く購入できるタイミングとしては、

• 搭乗日の2ヶ月〜3ヶ月前
• 旅行シーズンから外れた平日（特に火曜・水曜・木曜）

などが挙げられます。逆に、週末や連休、夏休み、年末年始などの繁忙期は、早い段階から価格が高めに設定されています。

お得なセールの買い方とは

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ピーチとジェットスターの航空券を最も安く手に入れる方法は、間違いなくセールを活用することです。

セールを上手に利用するには、いくつかのコツがあり、最も重要なのはセール情報をいち早くキャッチすることです。そのための具体的な方法は以下の通りです。

1. 公式メールマガジンに登録する：セール情報はメルマガで先行告知されることが多いので、これは必須です。
2. 公式アプリをダウンロードする：アプリ限定のセールや通知機能があり、見逃しを防げます。
3. 公式SNSをフォローする：X（旧Twitter）などでゲリラ的にセールが告知されることもあります。

次に、セールが始まったら素早く予約手続きを行うことが求められます。セール価格で販売される座席数には限りがあるので、人気の日時や路線はセール開始から数分で売り切れてしまうことも珍しくありません。

セールの買い方 ポイント

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事前に会員登録を済ませ、搭乗者情報やクレジットカード情報などを入力しておくと、セール開始後スムーズに購入手続きを進められます。旅行の日程やメンバーもあらかじめ決めておき、迷わず操作できるように準備しておきましょう。

予約は直前だと安くなる？

出発直前になれば、売れ残った席が安くなるのでは？

と考える方もいるかもしれませんが、ピーチやジェットスターのようなLCCにおいては、予約が直前になればなるほど、航空券の価格は高騰します。

これはLCCの価格設定の仕組みに基づいています。LCCのビジネスモデルは、早期に予約を埋めることで収益を安定させ、空席が少なくなるにつれて価格を上げることで利益を最大化する、というものです。

そのため、直前に空いている席は、急な出張などで「高くても乗らざるを得ない」ビジネス客などを対象とした高額な運賃で販売されます。

「直前割引」はLCCには存在しない

大手航空会社のような株主優待割引やビジネスきっぷといった直前でも利用できる割引運賃は、LCCには基本的にありません。LCCで安く移動したい場合は、「早期予約」と「セール活用」が鉄則です。

まとめ：ピーチとジェットスターどっちがいいのか

ここまで様々な角度からピーチとジェットスターを比較してきましたが、最終的な結論は「どちらが良いかは、あなたの旅行の目的と優先順位による」ということになります。

以下のまとめを参考に、ご自身のケースに最適な航空会社を選んでみてくださいね。

• ピーチとジェットスターは日本のLCC市場を牽引する二大人気航空会社
• 安全性についてはどちらも大手航空会社が母体であり高い水準にある
• 通常時の基本運賃に大きな価格差はない
• 支払い総額はセールや手荷物などの追加料金によって変動するため都度比較が必要
• 標準座席の乗り心地は同じ機材を使用しているためほぼ同等
• ピーチは関西国際空港を拠点としユニークな地方路線に強みを持つ
• ジェットスターは成田国際空港を拠点とし国内の広範な路線網が強み
• ピーチの弱点は空港でのチェックインが必須であること
• ジェットスターの弱点はデータ上ピーチより欠航率が高いこと
• ジェットスターは便利なオンラインチェックインに対応している
• 航空券を安く買うにはセールの活用が絶対条件
• セール情報は公式メルマガやアプリでいち早く入手するのがコツ
• 出発直前の予約は価格が高騰するためLCCでは避けるべき
• 最終的には利用したい路線と日時のフライトがあるか、手数料を含めた総額で判断する